太刀川さんが学生時代に学んだのは建築でしたが、より広い概念で「ものを結んでいく」仕事がしたいと、デザインの世界へと進みました。初期のクライアントだった、徳島の木工協同組合から依頼を受けデザインした伝統的な弁当箱(遊山箱)は、グッドデザイン賞を受賞し、海外の展示会にも招待を受けるほどの高い評価を受けましたが、売り上げという意味では思ったような効果が出ませんでした。この経験が、見えないものを含めたデザインの重要性に気づいたきっかけだったそうです。
デザインには「作り手」と「使い手」の橋渡し役という社会的な使命があります。個のデザインがうまくできても、全体としてのプロジェクトがうまくいくとはかぎらない。太刀川さんは、全体を俯瞰(ふかん)する視点に立つことで、既存のジャンルにとらわれることなく、さまざまなフィールドへと活躍の場を広げてきました。
最近手掛けた仕事の一つ、国産天然由来成分にこだわったMADE IN JAPANの化粧品「warew」。かねて興味を持っていたオーガニック素材。自然に恵まれた日本に古くから伝わる生薬の力や、湯治という習慣を生かした処方に大きな可能性を感じたそうです。