この日の北京の人民解放軍国防大学での講演で、長官はサイバー攻撃に関する米軍の戦略をすでに中国当局者に説明したことを明らかにし、中国軍も同様にサイバー能力の透明性を向上させるよう促したという。
ヘーゲル氏は訪中に先立つ3月28日に「国防総省は米政府のネットワーク外でサイバー作戦を展開することを控える」との方針を示し、他国にも同様の措置を促している。これに対し、中国外務省の洪磊(こう・らい)報道官は3月31日、「インターネット上で平和を維持することは中国と米国双方の利益にかなう」と歓迎した。
だが、たかが中国外務省報道官発言である。人民解放軍の見解でも何でもないし、党中央の決定を受けたわけでもない。それを先刻承知のヘーゲル氏は今すぐ「休戦」は無理でも、まずはお互い手の内を見せ合おうじゃないか、というわけで、米側から情報開示したうえで、北京に乗り込んだ。
インターネット空間はもともと国境を超越しているのだから、何も本国発で相手国を直接攻撃するわけではない。それはちょうど、公海で遊弋(ゆうよく)する原子力潜水艦から発射する弾道ミサイル攻撃のようなものだが、サイバー攻撃の正体と所在地を突き止めるのははるかに難しい。従って、米中間で本土を本拠にしたサイバー攻撃をお互いに控えると約束したところで、気休めにしかならないだろう。