ジヨンちゃんは両親ら家族4人で乗船していたが、兄のヒョクキュ君(6)と2人で遊んでいた際に事故が起きた。ヒョクキュ君は自分が着ていた救命胴衣を妹に着せてやり、「お父さんたちを探してくる」と言って離れたという。これがきょうだいの運命を分けた。
高校2年のパク・ホジン君(17)は、救命ボートに乗ろうとしたとき、甲板でびしょぬれになり、独り泣き叫んでいる女の子が目に留まった。ジヨンちゃんだ。「子供がいます!」。パク君は、ほぼ垂直に傾き、沈もうとしていた船の甲板に無我夢中で戻り、ジヨンちゃんを抱きしめ、ボートに乗った。「子供を置いては行けなかった」という。
ジヨンちゃんらしき女の子を抱きながら傾く船内をよじ登って甲板まで押し上げた男性乗客や女子生徒たちの“命のバトン”をつなぐ行動も伝えられた。
ジヨンちゃんの両親は清掃の仕事で貯蓄したお金で済州(チェジュ)島でミカン園を始めようとソウルから移るところだった。両親と兄はまだ行方不明のままだ。