東京都内の小学校で行われた全国学力テスト=2014年4月22日午前(原田史郎撮影)【拡大】
成績公表で期待されるのは、下位校で教育改善が進み、学力の地域格差が縮小することだ。国立教育政策研究所によれば、国による都道府県別の公表によって下位県に改善が見られ、例えば小学国語、算数の正答率が全国平均より5%低い県が2007年度調査では延べ4県あったのに対し、13度調査はゼロに改善。「成績を公表することで保護者らの関心が高まり、各教委も教育改善に本腰を入れるようになる」(国立教育政策研究所関係者)という。
だが、教委の多くは学校別公表に消極的だ。文科省が昨年(2013年)7月に実施した調査では、都道府県教委の4割以上が学校別の成績公表に前向きな半面、区市町村教委の8割近くが否定的な見解を示していた。現時点でも「数値の公表は序列化を招き、小規模校では個人が特定される」(長野市教委)、「数値を出すことに懸念を示す声もあり、丁寧な検討が必要」(静岡県三島市教委)など、慎重な意見は少なくない。
一方、公表に前向きな教委からは、保護者らに情報開示することで、地域ぐるみで教育改善を進めようとする姿勢がうかがえる。市町村別成績を公表する方針の大分県教委は「県独自の学力テストで数値を含めて公表しているが、過度な競争などの悪影響はない。市町村が取り組む教育施策の好事例を、保護者を含め県全体で共有したい」と強調する。