日米首脳会談に臨む安倍晋三(しんぞう)首相(右から2人目)とバラク・オバマ米大統領(左から3人目)。きしんだ日米関係はリセットされたが、安倍政権が直面する課題は少なくない=2014年4月24日午前、東京都港区元赤坂の迎賓館(代表撮影)【拡大】
対露で温度差
両首脳が「日米同盟の強化」をアピールしたのは、冷戦後の国際秩序を力ずくで変えようとする中露の試みが、アジア太平洋地域の安定を揺るがしかねないとの強い懸念があるからだ。過去の日米首脳会談では、中国を明確に意識して牽制(けんせい)するような合意はなく、それだけ日米が危機感を共有していることを裏付けた。
だが、ロシアへのスタンスで微妙な温度差があることは否定できない。クリミア併合を強行したロシアに対し米国は厳しい姿勢だが、日本は北方領土問題を抱え腰が引けている。外務省幹部は「今後、ウクライナ問題で米側の要求通り対ロシア制裁に踏み切れるか分からない」と漏らす。
首脳会談では、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮問題での日米韓3カ国の連携を確認した。日本は3月末、北朝鮮との外務省局長級協議を再開し、拉致問題解決に向け交渉を続けている。だが、仮に北が4回目の核実験を強行すれば米韓との共闘を崩せず、日朝交渉はまた頓挫しそうだ。