準外洋海軍でも脅威
日米の専門家は中国がいつ、完璧な外洋海軍へと昇華を遂げるかを注視する。だが東風21Dの性能が飛躍的に向上すれば、当分は「外洋海軍に近い沿岸海軍」のままでも、自衛隊や米軍にとっては脅威となろう。
なぜか-。米海軍大学のジェームス・ホルムズ教授ら多くの専門家が看破する、中国海軍の弱点の一つ《要塞艦隊思考》を起点に考えてみる。マハンによれば、艦隊運用は守勢的な要塞艦隊と攻勢的な《牽制=プレゼンス艦隊》の間で《調整=位置付け》した結果実施される。
要塞艦隊とは何か。海防の要諦は海岸要塞が全てだと限定する学派にとり、艦隊は要塞防御・支援する以外に存在意義を持たない付属物。即ち、要塞艦隊は艦砲射撃で陸上戦闘を支援する他、逆に要塞火力の援護を受けながら作戦を遂行し、敵艦隊の要塞接近を阻む-を主目的とする。
片や牽制艦隊とは軍港・要塞は補給・修理・将兵の休養に向けた一時的施設に過ぎず、攻撃力が大きく機動力に富む艦隊こそ敵に恐怖を与え、敵の行動を《抑止・制限》する。この力をもって制海権を確保すれば海防も担える-との理論。マハンの軸足は牽制艦隊に在る。実際、日露戦争(1904~05年)中、大日本帝國海軍艦隊との交戦を避け、艦隊を旅順要塞の海岸(要塞)砲射程内=旅順港内に留め、艦艇温存を図ったロシア軍の戦略を、マハンは《根本的誤り》と否定する。