エリクソン准教授は東風21Dの、軍事衛星を含む《C4ISR=指揮・統制・通信・コンピューター・情報・監視・偵察能力は、既に空母攻撃を支援するに十分なレベル》と観る。射程に加え、精度を確立したASBMが中国勢力圏内の発射源=陸海上要塞に配備され、対艦ミサイルを装備する爆撃機・潜水艦や電子戦機などが連携・支援、縦深性を厚くすれば、沿岸海軍といえども牽制艦隊=外洋海軍に近い実力を一部担保。冒頭述べた東アジア有事で、来援が期待される米空母打撃群を《抑止・制限》する、中国軍の《接近阻止/領域拒否(A2/AD)戦略》を具現化する戦力と化す可能性は否定できない。
“要塞艦隊”への本格的評価を、中国海軍が軍事史上初めて受ける事態が生起するのか、徹底的監視・分析が不可欠だ。
正規軍に対抗するゲリラ部隊、強力な兵器に応戦するイレギュラー戦法を「非対称」戦力という。中国軍は、ASBM+“要塞艦隊”+αから成る米空母打撃群に対する非対称戦力で時間稼ぎしながら、着実に「対称」戦力を増強していく。(政治部専門委員 野口裕之)