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【溝への落とし物】気遣いすぎる日々 本谷有希子 (2/3ページ)

2014.4.27 17:35

ほんだしを買い忘れないために撮った、ある日の、ほんだしの写真=2014年1月15日(本谷有希子さん撮影)

ほんだしを買い忘れないために撮った、ある日の、ほんだしの写真=2014年1月15日(本谷有希子さん撮影)【拡大】

  • 劇作家、演出家、小説家の本谷(もとや)有希子さん(事務所提供)

 見知らぬ人が、親戚の子と今日会ったばかりのその子の友達みんなを、ディズニーランドに連れて行ってあげたいと、思いつきで言い出す場面を目撃した。通りかかっただけとはいえ、それはやや出過ぎたまねなのではないかと忠告するべきなのだろうか。だって、もしかしたらその子供の親は、何かとっておきの日のためにディズニーランドをここ数年、温めているかもしれないし、そんな簡単に連れて行ってしまえば今後、子供たちのミッキーへのありがたみが目減りするかもしれない。親が悲しむだろう。そして、家庭がぎくしゃくするだろう。離婚もあり得る。そんな因果関係を少しも考えないで、ただ刹那(せつな)的に、子供たちの人気者になろうとするその人のことを、私は遠くからにらみつけるが、その矢のような鋭い視線はまったく気づかれず、すぐに宙にぼとりと落ちる。

 怒りおさまらず…ダンス

 テレビの音楽番組で流していた、あるバンドを密着して追ったドキュメンタリーが、あまりにひどい演出で、布団に入っても眠れない。地道に活動を続けているバンドが、あれではまるでただの売れなかった敗北者ではないか。何も知らずドキュメンタリーをみたら、誰もが彼らを苦労人として片付けてしまうだろうと、私は布団を抜け出して、独り地団駄を踏む。あれでは視聴者も、売れれば幸せで、売れなければ不幸せなのだ、という狭い考え方の枠から出ようとすることもない。

ドキュメンタリーのエンディングについて…

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