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残されたもので「死者がまだ生きている」と 「ゆずこの形見」著者 伊藤たかみさん (2/3ページ)

2014.5.1 18:30

多彩な作品を生み出してきた作家の伊藤たかみさん。「今回、ぬるぬるした性の部分が出てきたと言われた。そういう部分を自然に書けたらいいな」。早くも今後への意欲をにじませた=2014年4月17日、東京都渋谷区(野村成次撮影)

多彩な作品を生み出してきた作家の伊藤たかみさん。「今回、ぬるぬるした性の部分が出てきたと言われた。そういう部分を自然に書けたらいいな」。早くも今後への意欲をにじませた=2014年4月17日、東京都渋谷区(野村成次撮影)【拡大】

  • 「ゆずこの形見」(伊藤たかみ著/河出書房新社、1620円、提供写真)

 「執筆中に、古い知人が亡くなったんです。そこから自分は全く進んでいる気がしない。子供は1年たつと成長するのに、死者はその人の若い頃を思い出したりして、むしろ過去にさかのぼっていく。大人と子供、死者。全ての時間は違うんですよね」

 “死”という重いテーマを扱いながらも、筆致に気負いはない。会話には、どこかしらとぼけたニュアンスすら漂う。「『死』の部分に関しては、シンプルに受け止められたと思います。例えば、若い頃はお葬式の精進落としでお酒飲んだり天ぷらつまんだりしているのに、『人が死んでいるのに』ってカチンときたりしていた。でも、今はそれも生活として必要なんだな、と思える。そういった自然な感じがうまく出せたかな」

 2度目の死を与えるため

 冷凍庫に鎮座するカニ。想像しただけでもかなりの存在感だ。「親が北海道出身なのでよくカニをもらうんですが、困るんですよ。場所取るし、解凍には時間がかかるし。いつもカニのこと考えてるぐらい(笑)」。カニをもてあます太一だが、ゆずこに“2度目の死”を与えるために、ある方法によってカニを消化することを思いつく。

「1つの絵には、全ての色は使えない。全部のトーンの色を試してみたい」

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