回避された「合意」の表現
半面、追加協議後に発表された日米首脳会談の共同声明では「合意」の表現は避けられたものの、「重要課題について前進する道筋を特定した」との文言が盛り込まれた。フロマン氏は今月(5月)1日の上院財政委員会での証言で「TPPで重要な進展があった」と強調し、日米協議で日本側から妥協を引き出したとの見方をにじませた。
しかし米側は11月の中間選挙が近づけば近づくほど、妥協は難しくなる。中間選挙で苦戦が予想されている民主党にとって日本への譲歩は、支持母体の怒りを買いかねないためだ。日本側には「このままでは日米協議が停滞する」との不安もある。
オバマ氏は4月24日の首脳会談後の共同記者会見で「自国の市場を開放することなしに、他国の市場に参入できると期待してはならない」と話した。TPPの日米協議の成否は、オバマ氏と安倍首相の双方がこの言葉を自らの議会に納得させられるかどうかにかかっていそうだ。(ワシントン支局 小雲規生(こくも・のりお)/SANKEI EXPRESS)