お金の出し入れを全くしないまま10年以上放置している銀行口座がある人は少なくないのではないか。
こうした口座は休眠口座と呼ばれ、会計上、金融機関の収益とされている。預金者が払い戻しを求めれば、原則応じてくれるが、休眠口座の9割以上は1万円以下。このため、毎年、800億円から900億円の休眠預金が発生。請求がないまま放置される預金が、その約6割の500億円前後に上っているという。
慌ただしい引っ越しなどで口座解約を忘れてしまった。今から解約するとなると遠方の銀行支店まで出向かなくてはならず、気になってはいるが放置したままというケースも多いだろう。
そこで、預金者の支払い請求の権利を保護した上で、この休眠口座の資金を銀行の利益にするのではなく、社会貢献に役立てるべきではないかという発想が生まれた。
具体的には、休眠預金を集めてファンドをつくって、それを銀行が融資対象としないような社会貢献事業を行っているNPOや財団、企業などへ貸し付けるマイクロファイナンス(小口金融)として活用するアイデアだ。