同じくジャーナリストのメキシコ人、モニカも同様の意見を持ち、身ぐるみはがされたウリセスの話に「毎年いるのよね、そういう人。それで、マナミにお金をねだってきたんでしょ?」と、彼が嘘つきの物乞いだと決めつけた。
ウリセスは、私が尋ねるまで盗難の話をせず、お金もねだってこなかった。だから真相はわからない。私は彼をかばうわけでもなく、かといってモニカの意見に同調するでもなく、なんとなく「うん。よくわからないけど」と歯切れ悪く答えた。(写真・文:フリーカメラマン 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS)
■みどりかわ・まなみ 1979年、東京都生まれ。フリーカメラマン。高校時代南米ボリビアに留学、ギリシャ国立アテネ大学マスメディア学部卒業。2004年のアテネ夏季五輪では共同通信社アテネ支局に勤務。07年、産経新聞社写真報道局入社。12年に退社後、1年半かけて世界ほぼ一周の旅。その様子を産経フォト(ヤーサスブログ)とFBページ「MANAMI NO PHOTO」でも発信中。好きな写真集は写真家、細江英公氏の鎌鼬(かまいたち)。