アイデア帳にあった象柄の図案は、いずれも顔や胴体の細部は省略され、代わりに鼻はぐんと伸びたり、傘の枠をはみ出したり、自由にデフォルメされている。「たとえば江戸時代の象の絵は、奇妙だけれど面白い。それは本物を見たことがなく伝聞で想像を膨らませて描いたものだから。僕は本物を見たことがあるけれど、脚は実際こうだという事実に絵を引きずられたくはないんです」
今年の新作に「neko(猫)」という名の雨傘があるが、「ネコが好きな人は、これはネコじゃない、っていうんじゃないかな?」と笑う。
手染めにこだわる
10年から北欧の老舗ブランド「marimekko(マリメッコ)」のデザインも手がける。ポップでモダンな北欧テキスタイルのプリント柄は、暗く長い冬ごもりの時期を明るく過ごす暮らしの知恵でもある。特に鈴木さんは「北欧のビンテージのプリント生地がもつ雰囲気や、たたずまいにひかれる。手仕事で染める際、柄合わせが少しずれ、意図しない色の重なりが生まれていて、それが美しい」と感じるという。