74年にはパラセル諸島で南ベトナム軍(当時)と衝突し、パラセル諸島全域を掌握。88年にもスプラトリー諸島でベトナム軍を攻撃し、一部の島を実効支配下に置いた。さらに92年に米軍がフィリピンから撤退すると、フィリピンが領有権を主張していたスプラトリー諸島のミスチーフ環礁を95年に占拠した。
中国の狙いの一つは、海洋権益の確保だ。中国側は南シナ海の資源埋蔵量を石油が367億8000万トン、天然ガスは7兆5500億立方メートルと推計、「第2のペルシャ湾」と期待している。
もう一つは米国の軍事力への対抗だ。潜水艦基地のある中国海南島は南シナ海の深海部につながる。南シナ海から西太平洋に進出すれば、米海軍のプレゼンスをそぐことも可能になる。
しかし、オバマ米大統領のアジア歴訪時に決定したフィリピンへの米軍回帰は、南シナ海での軍事バランスを再び揺さぶり始めた。
今回、ベトナムに近い海域で石油掘削を本格化させたことに関して、中国側は「10年間続けてきた事業で今年始まったわけではない」(中国外務省の易先良・国境海洋事務局副局長)と強調している。だが、米軍回帰の動きに対抗し、実効支配への強固な意志を示す必要が中国に生じたとの見方も強い。(西見由章/SANKEI EXPRESS)