日中韓環境相会合で手を合わせる(左から)韓国の尹成奎環境相、石原伸晃環境相、中国の李幹傑環境保護省次官。空気と水にまつわる技術は兵器に化けるという認識が、政府・経済界には必要だ=4月29日、韓国・大邱(共同)【拡大】
斯くして中国は、さまざまな策謀を弄して軍事=民生技術を盗む。サイバー攻撃や諜報機関による活動の徹底的駆除はいうまでもない。同時に“民間”の中国人も危ない。日米を含む西側公安/諜報機関の間で、手口はこう分析されている。
「ロシアの諜報活動は、凄腕のプロが『バケツ一杯の砂』を調達する。ただし、中国流は“アマチュア”を投じる」
中国の兵器技術情報収集教範《西側軍事科学技術の収集利用長期計画》などによると《4000以上の団体が政治・経済・軍事・医学・社会・教育・文化といったあらゆる正面で》収集に当たる。彼ら、彼女らは《洗練されたプロではなく、スパイ教育を受けた各分野の専門家》で《一度に大量ではなく、少しずつ情報を集める》。一人が「1粒の砂」を持ち寄り、組織全体で「バケツを満たす」のだ。
美辞に潜む落とし穴
冒頭に述べた大気汚染対策の共同声明に戻る。
《企業や研究機関、都市間の連携・協力を強化する》
つまり《企業》の工場が掲げる製造工程の説明パネル、《研究機関》による民生品向け研究論文…、全てが「1粒の砂」となる。とりわけ《都市間の連携・協力》という美事を形容する美辞には落とし穴がある。