日中韓環境相会合で手を合わせる(左から)韓国の尹成奎環境相、石原伸晃環境相、中国の李幹傑環境保護省次官。空気と水にまつわる技術は兵器に化けるという認識が、政府・経済界には必要だ=4月29日、韓国・大邱(共同)【拡大】
実際2012年9月、毎年800人もの中国人公務員の技術研修を受け容れる計画が、福岡市で実行寸前となった。研修の核は市内に建てた日本最大の海水淡水化プラント。市長や役所は「友好/経済効果」ばかり強調し、淡水化技術が細菌兵器製造に資する危険性をまるで認識できていなかった。沖縄県にも国内第2位のプラントがあり、政府・地方自治体に国益重視と危機意識が求められる。
一方、中国人の“国益重視”は凄まじい。国防大学教授の張召忠・海軍少将(62)は2月、国営テレビで米軍の最先端レーザー兵器に言及。司会者に対抗策を問われ答えた。
「レーザー兵器が最も恐れるのは濃霧。大気汚染濃度が最悪レベル(危険段階)の1立方メートル400~500マイクログラムになればレーザー兵器への防御力が最大になる」
米軍の苦戦は必至? 中国で400~500は「最悪」ではなくしばしば。900マイクログラム(日本では35マイクログラム以下が理想基準)の記録さえある。インターネットでは「肺がんは国民が果たす最大の貢献なのか」との批判が噴き出した。
その5日後、人民の怒りを抑えるべく習近平国家主席(60)が、北京市内をマスクなしで視察する“勇気”を示した。「庶民とともに呼吸し、運命をともにする指導者」というネットの書き込みには笑ったが「無策を示す証拠」との正論も。
張少将や習氏が演じるパフォーマンスを、日本では「KY=空気が読めない」と突っ込みバカにする。少し古いか…。(政治部専門委員 野口裕之)