クラブジャズシーンを代表するアーティスト、マーク・ド・クライヴ-ロウがネット上のクラウドファンディング用サイト「キックスターター」でアルバム製作の資金調達に成功したというニュースが飛び込んできた。本来、ニューアルバムのリリースが決まったことをお祝いすべきなのだが、僕を含めた同業者が喜んだのは新たな予算確保の方法が提示されたことだった。海外にはCDショップさえない国が増え、CDビジネスの不振にあえぐ大手レコード会社が有名アーティストの作品ばかりリリースする中、マークの試みが見事な結果を出したことは、実に明るい兆しだ。
作品に実験精神反映
音楽的に妥協して売れ線にシフトしたり、誰かの二番煎じに甘んじれば、リスナーからそっぽを向かれるだけでなく、自己のアイデンティティーの崩壊すら引き起こしかねない。自分の信念を貫き、新作を待ちわびるファンから資金を集めることで制作費を確保する手法は、事前に必要額を算出し、資金調達ができたときにアルバム製作が可能となるため、ギャンブル的な要素を排除できるという意味でも非常に健全である。