人種間格差は州にもあてはまる。先住民が多いチアパス州は貧しい州の一つで、街の風景は土っぽく、生活インフラの整備も十分ではない。首都のメキシコ市のアンティーク雑貨が飾られたオシャレなカフェでお茶をしていた白人の若者と、太陽の日射しで肌が焼けて赤黒くなっている少女、ともにメキシコ人と呼ぶには、身なりも、生活も、顔つきも文化も、あまりにも違う。
「日本人」と比べると、「メキシコ人」像はずっとバラエティーに富んでいる。それは先住民と侵略者によって築かれた、複雑な歴史ゆえなのだと、メキシコの街の風景を眺めながら考えずにはいられなかった。(写真・文:フリーカメラマン 緑川真実
■みどりかわ・まなみ 1979年、東京都生まれ。フリーカメラマン。高校時代南米ボリビアに留学、ギリシャ国立アテネ大学マスメディア学部卒業。2004年のアテネ夏季五輪では共同通信社アテネ支局に勤務。07年、産経新聞社写真報道局入社。12年に退社後、1年半かけて世界ほぼ一周の旅。その様子を産経フォト(ヤーサスブログ)とFBページ「MANAMI NO PHOTO」でも発信中。好きな写真集は写真家、細江英公氏の鎌鼬(かまいたち)。