5月18日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合の閉幕後、共同記者会見する各国の閣僚たち。前列中央が中国の高虎城商務相、2列目左端が茂木(もてぎ)敏充経済産業相。2人は前日に会談し、高氏は「日本との経済関係を重視しており、協力を発展させたい」と述べた=2014年、中国・山東省青島市(共同)【拡大】
【国際情勢分析】
日本の尖閣諸島(沖縄県石垣市)国有化や安倍晋三首相(59)の靖国神社参拝などに反発していた中国が、政治問題と経済協力など民間交流を切り離して対日関係の改善を狙う「政経分離」の戦術を鮮明にし始めた。
中国の高虎城(こう・こじょう)商務相(62)が5月17日、山東省青島市で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易担当閣僚会合に出席した茂木敏充経済産業相(58)との会談に応じて、「日本との経済関係を重視し、関係安定と発展を望む」と述べたからだ。
にじむ「危機感」
昨年(2013年)12月の安倍首相の靖国参拝後、中国は5カ月近く日本の閣僚との会談には応じてこなかった。高商務相は、中国が主権を主張する尖閣問題では一歩も引かないとの原則を示しながらも、経済では関係打開の糸口を探る姿勢をみせた。
習近正政権が現段階で取りうる最大限の譲歩策を示したと受け止められる。