「犬の姿を通して、実は現代の人間像が描かれているところが面白い。人との付き合い方や考え方がまるで違うと、どんなことが起こるか?といった具合にね。とても示唆に富んだ作品ですよ」。初めて脚本を読んだ際、ホーが抱いた率直な感想だ。
愛する者に尽くすということ
一方、チャンの関心は愛情の注ぎ方に向けられた。「女性の場合、往々にして恋人に『私を愛してる?』と聞きますよね。女性は男性の愛を求めているんだけれども、小説や脚本を読むと、愛する者のために尽くすということが必要だと気づかされます。愛するという行為に自己犠牲はつきもの。ワンチェンはそのことが分からなかったんですね」。法律を学ぶために2010年から大学院に進学し修士号を取ったチャンは、多忙を極める女優業と、家族と過ごすプライベートの時間との両立に心を砕いてきただけに、人ごととは思えなかったのだろう。
すぐさまホーは言葉を継いだ。「タイトル通り、1分だけでもいいから、身の回りの人に関心を持つことが大事です。例えば両親とご飯を食べる時間は大事にしたいですね。それが両親にとっても1日の中でかけがえのない時間になっているかもしれませんしね」。5月31日から新宿バルト9ほかで公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)