≪雇用・農業は先送り 「岩盤規制」突破できるか≫
政府が6月10日示した新成長戦略の骨子案では、目玉となる農業や雇用分野の改革は具体策の明記が見送られた。農業は規制改革会議と自民党の主張に隔たりがあり、雇用では新しい働き方の対象をめぐって、厚生労働省と産業競争力会議の意見が対立しているためだ。ただ、両分野の改革には市場の期待も強く、27日の閣議決定に向けて政府がどこまで抜本的な改革に踏み込めるかが焦点になる。
政府は衰退する農業の成長産業化を目指しており、安倍首相は「(農協、農業生産法人、農業委員会の)3点の改革をセットで断行する」と強い意欲をみせている。政府の規制改革会議は5月に全国農業協同組合中央会(JA全中)を頂点とする中央会制度の「廃止」を柱とする改革案を提言した。
これに対し、自民党が10日了承した農業改革案は農業生産法人への出資規制の緩和などは容認したが、JA全中の組織改革は「自律的な新たな制度に移行する」として、規制改革会議の「廃止」からやや表現を後退させた。農林族議員を味方に付けたJAが猛烈に巻き返した結果だが、安倍政権には改革に消極的な農協への不信感が根強い。