ジャズをベースにあらゆる音楽が攪拌、混合されたフュージョンやクロスオーバーの再評価は、ミュージシャンたちによって積極的に行われた音楽的な実験の検証に他ならない。現代の音楽シーンが情報過多で混沌とする状況の中、アフロ・アメリカンの地位が向上し、ポピュラー音楽として世界各国のローカルな音楽が取り上げられるようになった70年代の変化を、改めて見つめ直すことで次世代の音楽を生み出す力を、あるいは時代を超えて聴き継がれるべき音楽を識別する力をアーティストのみならず、聴き手も獲得しようとしているのかもしれない。
すべての選曲に貪欲
余談になるが、先月ニューヨークで6年ぶりにDJをする機会に恵まれた。僕のプレーに終始大興奮する一人の聴衆がいたのだが、終演後に話しかけてみるとそれはたまたま同時期にニューヨークに滞在していたトマゾだった。僕がその夜かけた、ジャズ、ファンク、ラテン、ブラジル、ディスコ、ハウス、テクノ、果てはファレル・ウィリアムスのようなポップスにまで、彼はありとあらゆる音楽に反応していた。