≪石油都市掌握のクルド人勢力 権益拡大へ虎視眈々≫
イスラム教スンニ派の過激派組織「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」の攻勢が続くイラクで、北部で自治権を握るクルド人勢力が虎視眈々(たんたん)と権益拡大を狙っている。シーア派主導のマリキ政権と同様にISILとは敵対関係にあるが、混乱の中で掌握した北部の石油都市キルクークを簡単に手放すとは考えにくく、今後も大きな火種として残りそうだ。
大規模な油田があるキルクークにはアラブ人やクルド人が混在しており、ヌーリ・マリキ首相(63)の中央政府とクルド自治政府は互いに支配権を主張して、小規模な衝突がしばしば発生してきた。
ところが今月(6月)12日、ISILがイラク第2の都市の北部モスルを電撃的に制圧し、南下を始めたのを受けてクルド人部隊がキルクークに展開。政府軍は武器庫などを明け渡し撤退した。
クルド側は「要衝のキルクークをテロリストから守る」ためだと説明する。実際、シーア派民兵を動員するなどしてISILへの反攻に乗り出したばかりのマリキ政権には、キルクーク防衛の余裕はない状態だ。