高額なバイト代につられ、街頭調査のアルバイトを始める波田。働きぶりを見込まれ、著名な経済評論家・北川が主宰する「北川社会情報研究所」に破格の待遇で採用される。コメだけの夕飯から、高級ステーキ店へ。情報を収集分析し、企業に新たな市場を提案する…そんな仕事に夢を抱くようになる波田だったが、ある商事会社の動向を探るプロジェクトに関わったことから、拉致・監禁・逮捕と黒い渦に巻き込まれる-。
正義か、悪か。平凡な大学生が、複雑な入り組んだわなに立ち向かっていく様子がスリリングに展開される。「知的ゲームとしての側面もあります。波田自身も変わっていく。ヘンな表現かもしれないけれど、『負の成長小説』ですね」
“ピカレスクロマン”と銘打たれてはいるが、描かれるのはいわば“等身大の悪”。「普通の人が、悪の道に進んでしまう物語。最初はお金がほしいという単純な動機だけれど、徐々に深みにはまっていって、気づいた時には悪に染まっている。お金が絡むと、簡単に人は悪に手を出してしまう。時代こそ1980年代だけれど、こういった人たちはどの時代でも一定の割合で噴出している。今で言うなら、振り込め詐欺の出し子とかね」