けれど、こんなにも正直で、地に足がつき、わきがしまっている宿は見たことがなかった。宿の全てがヒューマンスケールで営まれ、宿主の領分と矜持を映し出す。2010年代の上質とは、まさにこのような場所なのだろう。そして、そこに岩佐編集長のロマンティシズムが、よいスパイスとして散りばめられているから、滞在後にだってぴりっと気持ちよく居られるのだ。(ブックディレクター 幅允孝/SANKEI EXPRESS)
■はば・よしたか BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。人と本がもうすこしうまく出会えるよう、さまざまな場所で本の提案をしている。
■里山十帖 最寄りの大沢駅からは送迎も。自遊人のHPからの予約が、ベストレートです。新潟県南魚沼市大沢1209の6。1泊2食、1万9800円から。
(1)地に足つけながら本物のみを丁寧に探し出そうとする冒険の雑誌とも言える。食も旅も身体も生活の基盤だと教えてくれる。自遊人、802円。
(2)岩佐さんの6年間の米作り体験をまとめた本書。収支や試算といった裏側も真正面から開示していく。講談社、1728円。
(3)泊まった宿で感じたそのままを、独特の偏った視点で掘り下げていく。旅行記としても十分に楽しめる1冊です。角川マガジンズ、1620円。
(4)去年出版された『温泉批評』に、里山十帖開業までの道のりが掲載されている。「本物」にこだわる正直者の背中を見よ!双葉社、905円。