首相が訪問した島根県は4月1日現在の推計人口がついに70万人を割り込んだ。しかし、市町村ごとにみれば、人口が増えているところも少なくない。特に注目されているのが隠岐(おき)諸島にある海士町(あまちょう)だ。定住希望の若者らのアイデアに真剣に耳を傾け、特産のサザエを使ったレトルトカレーの商品化、養殖岩ガキや塩のブランド化などを進めて、産業振興と働く場を確保していった。その結果、10年で295世帯437人が移住し、町の人口は約2400人になったという。
総務省によれば、地域おこし協力隊は2009年度の89人から13年度は978人に、派遣自治体は31から318に急増している。地方に若者を投入して、今まで生かしていなかった資源を生かす、そして人口が増えて、地域の存続が可能になる。このサイクルをぜひ全国各地に広げるべきだ。
その際、問題が起きるとすれば、自治体の側だろう。首相は視察後、「地方創生本部」の新設を表明したが、海土町に学べば、自治体には従来の縦割りの発想を超えて、柔軟に民間や地域住民らと協同できる融通無碍(ゆうづうむげ)なチームの存在が欠かせない。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)