東日本大震災で被災した岩手県の三陸鉄道は4月6日、最後まで不通となっていた北リアス線小本-田野畑間(10.5キロ)の運行を再開した。5日に開通した南リアス線と合わせた全107.6キロが1122日ぶりに完全復旧し、開業30周年で再出発を果たした。沿岸被災地は、バス高速輸送システム(BRT)に姿を変える路線も多く、鉄道の復活は沿線住民にとっては悲願だった。
久慈市の久慈駅を6日早朝に発車した3両編成の上り一番列車には、鉄道ファンら50人以上が乗車した。
連続テレビ小説「あまちゃん」で「袖ケ浜駅」として登場した堀内駅(普代村)付近などでは、住民が大漁旗を振って歓迎した。
久慈駅では復旧を祝うイベントが開かれ、全国から集まった観光客や鉄道ファンが地元住民らと喜びを分かち合った。
金野淳一運行本部長(53)は「震災から3年という時間がたち、多くの人にご不便をかけましたが、この日を迎えることができました」と完全復旧を宣言した。
悲願だった全線開通について、望月正彦社長(62)は「きょうは三陸鉄道の第2の開業の日」と話しながらも、「人口減少などで、これからの方がむしろ厳しい状況になる」と気を引き締めた。