95年は「戦後50年」という節目にも当たり、戦争を知らない世代の会田誠(1965~)が「戦争画RETURNS」で、「意味の真空状態」を言いながら、戦争を“無機質”に表現した。
ノストラダムスの大予言や、オウム真理教のハルマゲドン(最終戦争)が話題になり、「世紀末」ムードが社会を包み込んでいた中、現実に阪神大震災と地下鉄サリン事件が起こる。ヤノベケンジ(1965~)は自己防衛機能を備えたスーツを着てチェルノブイリを訪れるなどの「アトムスーツ」シリーズを展開。
野茂英雄のメジャーリーグ活躍に象徴される「グローバリゼーション」もアーティストに影響を与えた。小沢剛(1965~)は、モスクワ、チベット、中国・天安門などを駆け巡り、地蔵を配置する「地蔵建立」を続けた。
身近で壊れやすい素材を使って表現する「フラジリティ」もキーワードだ。髙柳恵里(1962~)は、ぬれた使い古しのぞうきんを乾かして固め、美術からかけ離れていた素材から作品を生み出す。「パーソナルな日常」がモチーフになるのも、このころの特徴。毎日出合う犬や風景を描いた小林孝亘(1960~)、見る者を見つめ返す少女や犬を描く奈良美智(1959~)は、弱い存在の不安まで作品に投影させている。