24時間365日、ある人のそばにつききりになるということは付き添いの人の人生活動を制限したり壊したりすることにつながります。社会から少しずつ人材が失われていくことを意味していて、マクロ的に見ると大きな国家財産の損失です。数年あるいは10年近くたって、介護が終わった後には、ご本人たちが高齢になってしまっています。あるいは老老介護の場合は共倒れになることでしょう。
厚生労働省の方がテレビで包括的な地域ケアを充実させ、医療者を巡回させるから大丈夫と言っていたのには唖然(あぜん)としました。安定した状態が変化して、病的状態になったときへの対応しか念頭に置かれていなかったからです。常に目が離せず持続的にケアが必要な人たちをサポートする専門職の人々を育成して、交代で彼らが見続けられるようなインフラシステムの構築が必要です。焦眉の急を有する問題です。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)