グアテマラ南部のアティトラン湖周辺の村、サンペドロ・ラ・ラグーナ(以下サンペドロ)には、外国人向けのスペイン語学校が数校あり、他の都市より物価と授業料が安価なため、長期滞在してスペイン語を学ぶ旅行者が多い。
「ウイピル」と呼ばれる民族衣装、色鮮やかな刺繍(ししゅう)が施された貫頭衣(かんとうい、一枚のきれの中央に穴をあけ、そこに頭を通して着る衣服)に身を包む先生、フローラ(24)と出会ったのも、語学学校を通じて。写真撮影にはにかむようなシャイな一面もあるが、きちんと自分の意見を持った魅力的な女性だ。
彼女の話は興味深い。同じマヤ系民族でも、村によって衣装の柄や色合いが異なること、サンペドロの模様は緻密なので値が張り、オリジナルのスカートで1000ケツァル(約1万3000円)はする、などの話で盛り上がった。他にも、30年前までは町に1つしか電話がなくて行列ができていたほどで、宿と飲食店にWi-Fiが完備されている現在からは想像しにくい話も教えてくれた。
観光業がサンペドロの主要産業となったことで、欧米文化と日常的に触れるようになり始まった価値観の変化を彼女は好ましく思っておらず、「マヤ民族としての誇りが失われつつある」と懸念を示した。