都議会でのやじ問題で、塩村文夏(しおむら・あやか)都議(左)に謝罪する鈴木章浩(あきひろ)議員=2014年6月23日、東京都新宿区の都議会議事堂(大里直也撮影)【拡大】
一方、多くのメディアが「セクハラやじ」と呼ぶそれは、全女性への「ヘイトスピーチ」そのもので、日本社会のあり方に関わりる問題として、笑って済ませられることではない。
議長がそれを一般的なやじと同様に受取ってやりすごし、知事がにやりとしていたこと自体が人権への配慮に欠けるもので許せないことだが、ネットでの批判が大きくなると知事は「やじは女性の尊厳を傷つけ許されない」といい、「議場では自分にはやじの内容は聞き取れなかったがつられて笑ってしまった」などと弁明。一方で、都議会が介入すべき問題ではないとした。
やじを飛ばした議員にとどまらず、周囲の者も「誰の発言かも分からない」と言って逃げまわり、だれも責任をとろうとせず、うやむやにしようとした。塩村都議はこうした対応を不満とし、議長に発言者の特定と処分を申し入れたが、最初は発言者が特定できないという理由で議長はそれを受け入れなかった。しかし、メディアの追及が高まり、23日になって、そのうちの一人の鈴木章弘(あきひろ)都議が暴言を認めて、塩村都議に謝罪した。誰がどういう発言をしたかは音声記録を点検すれば、すぐ分かることだから失態の上塗りだ。