「絵本のような物語なのに、倉持(裕)さんはちゃんとリアリティを持たせていてすごい。キャラクターに寄り添って見られる」と語る、女優のともさかりえさん=2014年6月11日、東京都内(寺河内美奈撮影)【拡大】
「演(や)れて当然、という前提で役をいただく立場になってから、演技に対する緊張感は逆に高まりましたね。経験値が増えた分、今の自分の力でそこまでできるのか、ある程度の想像ができてしまうところがあって。ただお芝居が楽しかった昔の頃と違い、今はいろんな面倒くさいものも引き連れている気がします」。職責を自覚した言葉に、ベテラン女中の域にさしかかったケシキの面影が重なる。
一方、ともさかには小学生の息子がいて、稽古中も毎朝お弁当作りは欠かさない。「家では、息子の宿題を見て、夕飯を食べさせて、お風呂に入れて…やるべきことだらけ。もちろん面倒くさいな、と思うこともあるけれど、仕事を忘れて気持ちを切り替えざるを得ないこの状況は、仕事に煮詰まる体質の私には、かえっていいのかもしれません」。細身からは想像がつかない強さが、みなぎっている。(文:津川綾子/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)