フィリピン義肢装具士養成学校の卒業式であいさつをするライッサ・ローレルさん=2014年4月23日、フィリピン・首都マニラ(日本財団撮影)【拡大】
それから3年半。リハビリを続けたライッサさんは歩けるようになり、走れるようになり、ボクシングもできるようになった。その間、同じ大学に通っていた男性と結婚式も挙げた。そして、養成学校の第1期生として学んだ学生らも卒業式を迎え、ライッサさんの祝福と激励を受けた。
個人ではなく、社会の問題
ライッサさんが社会復帰のため努力する姿は、「障害は、障害者個人の問題ではなく、彼らを取り巻く社会の問題である」ということを教えてくれた。肢体障害者を支える適切な義肢装具を提供できる仕組み作りは、彼らの社会参加を実現するための第一歩だ。
世界保健機関の推定によると、途上国では人口全体の0.5%に相当する人たちが義肢装具の提供を必要としているが、義肢装具士やリハビリテーションに関わる専門家は圧倒的に不足しているという。義肢装具士の育成には時間を要するが、養成学校の卒業生たちが活躍することで、肢体障害者の社会参加は確実に進む。
ライッサさんは、卒業式での挨拶をこう締めくくった。
「福祉機器が、それを必要とする全ての人に行き渡れば、彼らは自信を取り戻せる。ただ生き長らえるのではなく、人生を諦めない。こうした世界を実現しましょう」(日本財団 国際協力グループ 立石大二SANKEI EXPRESS)