時々、“日本は世界で一番有給休暇の消化率が悪い国”だということを誰かに口走りたくなって困る。もちろん、そんなのはただの統計だと頭では分かってる。にもかかわらず、私には定期的に「ほら、やっぱり日本人の有休消化率は世界でワースト1だからさぁ…」という言葉を思わず口にしたい瞬間がやって来るのだ。
独特の余白
たとえば休日、私が街を歩いていて、どこかのお店の前にできる大行列を目にした時なんかが危ない。「ああいう行列って、やっぱり有休を使わないことと関係してるのかな」とぽろりとこぼれ出てしまうのだけど、相手の反応がよかったためしは、まずない。みんな、私の言いたいことがよく分からないか、伝わったとしても、そこから私の話が一切深まっていかないことに当惑して、「ねえ、あっちに新しいおそば屋ができてねえ…」とさりげなく話題を変えてしまう。仮に「で?」と訊かれても困る。統計や一般論を持ち出してしまうと、答えがすでに出てしまっている気になるから、まるでジャン!と幕引きされたように、思考がストップしてしまうのだ。