お礼を言って彼女から離れて行った男は、角を曲がってから「無回答」の欄にチェックし、翌日アンケートを回収した会社が有休についての調査を発表した。
彼女は今も、苺を最後まで残し続けているだろう。(劇作家、演出家、小説家 本谷有希子/SANKEI EXPRESS)
■もとや・ゆきこ 劇作家、演出家、小説家。1979年、石川県出身。2000年、「劇団、本谷有希子」を旗揚げし、主宰として作・演出を手がける。小説家としては短編集「嵐のピクニック」で大江健三郎賞を受賞。最新刊「自分を好きになる方法」(講談社)が、第27回三島由紀夫賞を受賞。世界各国で発行される文芸誌「GRANTA」5月号イタリア版に伊訳による短編「I cani」が掲載。