【続・灰色の記憶覚書】
朝になるとやってくる野良猫のロス(半年程前に当連載に登場したすぐにシャーと唸る猫である)が1週間ぱたりと姿を現さないので、引っ越したのかもわからないねえ、なんて呑気(のんき)に構えていたのだけれど、最後に我が家で朝飯を食らったそのときには、だいぶ具合が悪そうだったという話を聞いて、ひょっとするとあれももう人目につかないどこかで命を閉じてしまったのかもしれないと、覚悟というほどの馴れ合いもないのだけれど、それに近いような気持ちになった翌朝、ふいっとまた現れた。
「死」がまとわりつき始めた?
別に猫なのだからいつの間にやらそこにいるようなことに不思議はないのだけれど、本当にまばたきしたような間にそこにひゅっと在ったものだから、やや驚いた。半年以上我が家の庭に出入りはしているものの、撫でるといったようなスキンシップは一切取らずにいる。ロスがそれを望んでいるようには見えないし、私たちも前のめりに猫を愛でたいという質(たち)でもない。それでもまあ「何処へ行ってたんだい」程度の言葉をかけながら、習慣的に常備するようになった餌をやった。