というと、どんな心棒なのだろうか、と思うが、言って気持ちがいい、耳にして心地よい、しかし、グニャグニャで真の危機の際にはあまり役に立たない心棒が大量に流通消費されるいま、自伝であると同時に、この本を読んだ体験がひとつの心棒になるような感じも読み狂人にはあった。心棒を失した、グニャグニャのあほながら、あった。(元パンクロッカーの作家 町田康、写真も/SANKEI EXPRESS)
■まちだ・こう 1962年、大阪府生まれ。81年、町田町蔵名義でパンクバンド「INU」のボーカリストとしてデビュー。96年には町田康として処女小説『くっすん大黒』(文芸春秋)で文壇デビュー。2000年に『きれぎれ』(文芸春秋)で第123回芥川賞受賞。近刊に橋本治らとのアンソロジー『12星座小説集』(講談社)。
≪「何があっても大丈夫」(櫻井よしこ著)≫
ベトナムの野戦病院での誕生、帰らぬ父、ハワイでの孤独な大学生時代-。日本を代表する論客が、自身の出生からニュースキャスターになるまでの劇的な半生をつづった。新潮文庫、724円。