キケマンの種は、透明な羽衣を身につけている。羽衣は糖分や脂肪分を含む高カロリーのごちそうで、アリをひきつけ、運んでもらって分布を広げている。羽衣は植物学で「エライオソーム」とよばれているが、どの部分からどのように作られるのか、いまだによくわかっていない。この「種にごちそうを生やす」作戦は、スミレやヒメハギなどさまざまな植物が採用している。
リンドウは、吹けば飛ぶような極小の種を大量に作り、一つ一つに羽をつけた。ヤドリギは、鳥の体内を通って別の木に引っ越しする作戦だ。全体を包む薄い皮がはがれると、ネバネバした粘液が露出し、鳥に排泄(はいせつ)されて木の枝にくっつく。