しかし、種子散布のための機能論だけでは、このデザインの多様性は説明しきれない。シンジュガヤの実が真珠のように美しい理由や、アオツヅラフジの濃紺の実にひそむ種になぜアンモナイトのような造形が刻まれたのか、モロヘイヤの種の深い青色はどこから来たものか。植物が数億年をかけ、あらゆる変化をいとわず、したたかに生き残るための方法を開発してきた結果であることは間違いない。なにかと理屈をつけて納得したがる、人間の知恵が及ぶはずもない、種や実の美しさである。(文:編集者 清水洋美/撮影:写真家 久保秀一(ひでかず)/SANKEI EXPRESS)
■しみず・ひろみ 1965年生まれ。出版社勤務後、フリーの編集者として子供向けの自然科学の書籍を主に手がけている。「ずかん たね」の企画・編集を担当した。
■くぼ・ひでかず 1941年生まれ。フリーの写真家として身近な自然や生物の生態を幅広く撮影。単行本、教科書、月刊保育絵本などで活躍。「ずかん たね」の精緻な写真をすべて撮りおろした。