中国国営新華社通信は7月29日、周永康・前政治局常務委員(71)が重大な規律違反の容疑で党の規律部門の取り調べを受けていると伝えた。容疑は明らかにされていないが、汚職などの経済問題の可能性が高い。中国共産党の最高指導部のメンバーを務めた大物政治家が失脚するのは25年ぶり。習近平国家主席による権力集中の一環で、政敵として狙われた側面が強いと指摘される。治安、警察部門に今も大きな影響力を持つ周氏の失脚で、政局に激震が走るのは必至だ。
周氏は、江沢民元国家主席が率いる上海閥の重鎮として知られる。国有企業、中国石油のトップを経て政界入りし、大きな利権を持つ石油閥の中心人物。公安相を経て2007年に政治局常務委員となり、胡錦濤政権で党内序列9位ながら、警察、検察、司法部門を統轄する責任者である党政法委書記として大きな権力を振るった。
12年春に失脚した薄煕来(はく・きらい)元重慶市党委書記と深い関係があることでも知られていた。昨年(2013年)夏から、周氏の側近を務めた幹部が次々と経済問題で失脚し、周氏本人の、拘束情報が何度も飛び交った。