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【逍遥の児】根岸の子規庵にてもの想う (2/2ページ)

2014.7.30 18:55

 「晩年、子規は膝が不自由になった。立て膝をしたまま、使えるよう特別注文して作らせたのです。複製です。実物は、土蔵のなかに大切に保管しています」

 子規をまねて、立て膝で座る。眼前。こよなく愛した庭。棚。青々としたヘチマがぶら下がっている。彼は、たんを切るため、ヘチマの汁を飲んだ。

 1902(明治35)年9月18日。病床。子規は門弟らに支えられ、体を起こした。筆を持つ。紙に3句、書き記した。最後の句。

 ――をととひの へちまの水も 取らざりき

 筆を投げ捨てるかのように置いた。穂先のほうから白い寝床に落ちていったと伝えられる。

 その夜。昏睡(こんすい)状態に陥った。翌未明死去。34歳。死の前日まで句作に打ち込んだ。なんたる壮絶。(塩塚保/SANKEI EXPRESS

 ■逍遥 気ままにあちこち歩き回ること。

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