「いろんな感性に触れたい」と美術館によく行くという菅田将暉(すだ・まさき)さん。数学や、ものづくり好きだという一面もある=2014年7月21日、埼玉県さいたま市(早坂洋祐撮影)【拡大】
「ロミオは、別の女の子に熱をあげてたのに、ころっとジュリエットを好きになった。この物語は結局、たった5日の間に起こった、若気の至りという面もあります。ロミオや親友のマキューシオやベンヴォーリオにある、素直さ、自由さといった、現代の僕らにも通じる青っぽい若者らしさを漂わせて演じたい」という。
稽古場での表情は、お茶の間の人気を博したNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」の西門泰介役で見せた穏やかなものとは違った。脈々と演じ伝えられてきたロミオ役を「せりふの知的な響きを大切にしたい。人とは違う演じ方をしたい」と、いい意味での貪欲さを隠さない。強い眼光や、四隅がめくれた台本がそれを物語る。
蜷川が稽古中、他の俳優に、「俳優として自分を証明する何かを見せろ」と気合を入れると、菅田も聞き入った。「蜷川さんがそんなふうに考えてるんだ、自分はそこまで見えてなかったって悔しくなるときがあります。誰に向けられた言葉でも、常に耳を傾けておかなければ、という意識です」