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【逍遥の児】房総半島の「理想郷」に立つ (1/2ページ)

2014.8.12 11:50

 房総半島南部に「理想郷」と呼ばれる岬がある。いつか、訪れようと思っていた。夏の週末。車に乗り込み、南下する。3時間余。勝浦市で休憩する。遅めの昼食。勝浦タンタンメンを注文した。漁師たちが冷えた体を暖めるため、好んで食べ、急速に広まったという。真っ赤に染まったスープ。激辛。たっぷりのタマネギ。うまい。ひと汗かいて、出発。海岸線を走る。快適だ。目指す鵜原(うばら)・明神岬に到着した。

 さあ、歩こう。岩盤をくりぬいたトンネル。暗い。洞窟のようだ。森。ゆるやかな坂道を登っていく。せみ時雨。岬の突端に出た。視界が広がる。真っ青な海。船が白い波を立て進む。遙(はる)かかなた。水平線が見える。大きく深呼吸。ああ、気が晴れ晴れとする。

 大正時代。別荘地開発計画が持ち上がった。このころから「理想郷」と呼ばれるようになった。合資会社が広大な土地を確保。現職大臣や東京の財界人らを招待して盛大な園遊会を催した。まさに軌道に乗ろうとしたとき、関東大震災が発生した。計画は停滞し、豊かな自然が残された。

 作家、三島由紀夫。少年の日、母とともに訪れている。東京の酷暑を避け、ひと月ほど滞在した。夏休みの体験を元に「岬にての物語」を執筆した。

夏休みの体験を元に「岬にての物語」を執筆

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