散氏とは、この器を制作させ使用したとみられる一族。当時西周は日本の戦国時代のように小国が割拠しており、「散」もそのひとつだった。隣国と領地争いがあったが交渉の末、隣国が土地を一部割譲することで解決した-というのが銘文の大まかな内容だ。国や一族の輝かしい歴史を青銅器の銘文に残し、それを重要な祭祀で使うことで、権力を子々孫々に伝えたのだ。はるか西周の人の手による、ユニークな字の形も味わい深い。
ちなみにこの「散氏盤」は現在、東博で開かれている台北・故宮博物院展(産経新聞社、フジテレビジョンなど主催)で鑑賞できる。このほか、世界に約70点しか現存しないといわれる北宋・汝窯(じょよう)の青磁や、三国志の古戦場を描いた武元直筆「赤壁図巻」(東博のみ展示)など、中国歴代皇帝が愛蔵した名宝が並ぶ。一見取っつきにくい古美術も、背景にある物語を知れば、奥深い魅力の虜(とりこ)となるだろう。
【ガイド】
台北・故宮博物院展は、9月15日まで。問い合わせは(電)03・5777・8600。その後、九州国立博物館に巡回する(10月7日~11月30日)。