ハーバードビジネススクールなど世界の著名な経営大学院では企業経営の実例を調査研究し、学生の授業に活用している。しかし、企業の栄枯盛衰に合わせて内容をきちんと更新しているところは意外に少ないのではないか。
株式が未公開の場合は経営陣が入れ替わったり、資産売却がなされたりしても情報公開されず、成功体験だけがずっと教科書に載ったままである。
そんな企業の一つが日本人の元大手銀行マン、枋迫(とちさこ)篤昌氏が2003年に米国で創業した金融サービス会社「マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)」だ。
この会社は中南米などから米国に出稼ぎに来た移民らが本国に送金する場合の手数料を大幅に安くし、一方で途上国の小口金融機関に低利融資し、貧しい人がそこから融資を受けて起業しやすくする斬新な事業モデルを構築した。
KDDIが約2200万ドル出資して筆頭株主になったほか、世界銀行などの国際機関が高く評価し、世銀傘下の国際金融公社(IFC)などの公的機関も相次いで出資した。