「岡本太郎とアール・ブリュット-生の芸術の地平へ」展のキュレーターを務めた中津川浩章さん(左)と、一般社団法人「Get_in_touch」理事長、東ちづるさん=2014年7月18日、神奈川県川崎市多摩区(提供写真)【拡大】
そんな彼の先見の明をリスペクトし、今回のアート展では岡本太郎の作品が並ぶ同じ空間に、アフリカのお面やオブジェ、そして、「工房集」「やまなみ工房」「アトリエ・コーナス」などの福祉施設に所属するアーティストたちの作品の数々を展示した。
「精神の自由さからくるデタラメこそが真の芸術である」「四角い枠にこだわるな。キャンパスからはみだせ」「手慣れたものには飛躍がない」「常に猛烈なシロウトとして危険をおかし、直感にかけてこそ、ひらめきが生まれるのだ」
岡本太郎が残した名言の数々。まさに「芸術は爆発だ」の世界だ。
「ジャンル」という意識を超えたエネルギッシュな展示は、アーティストのハートさえもゆさぶり、レセプションでは感動のあまり泣き出すアーティストもいた。
「線引きできない」
「美には傷以外の起源はない」。これは、フランスの作家ジャン・ジュネの言葉だ。ジュネの言葉にインスピレーションを得たという中津川さんは、「痛みは作品を生むエネルギーになる。そして、障がいがあるなしではなく、すべての人間が痛みや欠損を抱えて生きている」と語る。そして、「障がいのある人たちは、言葉が操れなかったり、コミュニケーションが難しかったりと、ハンディがあるからこそ、その表現に託すものが深くて大きいのだと思う」と言った。