また花に重ねる人の情にも、今と昔の時代を超えて共通するものがあるようです。
万葉集には、三十六歌仙の一人、山部赤人の歌で
わが屋戸に 韓藍蒔(からあいま)き生(おほ)し 枯れぬれど 懲りずてまたも 蒔かむとぞ思ふ
というのがあります。
花言葉は「色あせぬ恋」
この歌の中に出てくる「韓藍」とはケイトウのこと。この花がかつて朝鮮半島を経由して大陸から伝わったことがわかる名です。ケイトウには「色あせぬ恋」という花言葉がありますが、山部赤人の歌からも、赤々と燃え枯れることのない恋の情が伝わってくるようです。
かつてはお盆や彼岸の供花のイメージが強かったケイトウ。ですが、最近では品種改良が進み、ひと皮むけた印象に。その面白い質感と色合いから、今やフラワーアレンジメントの人気種となりました。