蚊からデングウイルスが検出されたのを受け、大半が閉鎖され、閑散とする代々木公園。公園に隣接する写真右端には感染者が確認されたNHK放送センターの建物も見える=2014年9月4日午後、東京都渋谷区(共同通信社ヘリから撮影)【拡大】
この散布について、国立感染症研究所の高崎智彦室長は「消毒が中途半端だ」と指摘する。「逃げた蚊がいるかもしれない。一度きりの消毒では不十分で、何度も広い範囲での駆除が必要だ」と述べる。
デング熱に詳しい国立感染症研究所の小林睦生・名誉所員も「75メートルという範囲には根拠がない」と話す。公園の広い範囲にウイルスを持った蚊が広がっているとみられ、徹底的な消毒と幼虫対策を実施すべきだとした。
一方、ウイルスを保有する蚊が産んだ卵から生まれた蚊が人に感染させたとの報告はなく、ウイルスは次世代に伝わらないとされる。蚊の寿命は30~40日で、成虫がいなくなれば感染は終息するとみられる。
しかし、海外で感染し国内で発症する患者が年間200人程度に上る状況では、代々木公園での感染に限らず、来年以降も国内感染が発生する恐れがある。小林氏は「全国の公園や神社仏閣で、蚊の密度を下げる対策を継続的に実施することが重要だ」と警告している。