転機は2006年。京都大の山中伸弥教授がiPS細胞の作製に成功したと報告すると、風向きが変わる。「これなら安全性をクリアできる」。すぐに臨床に向け研究を始めた。山中教授も「全力で高橋政代さんに協力している」と説明する。
英科学誌ネイチャーで「今年注目の5人」の筆頭に挙げられたが「静かにやりたい」と慎重姿勢を貫いてきた。世界から注目を集める手術に臨む患者に、過度な心理負担を与えたくないという思いがあるからだ。ただ、理研で起きたSTAP細胞問題では自らの研究への悪影響を懸念し、「理研の倫理観に耐えられない」とツイッターで上層部の対応を批判した。
現在も研究をしながら、眼科医として患者と向き合う。淳さんもiPS細胞を使ったパーキンソン病治療研究で知られており、家での話題は専ら、互いの研究についてだという。(SANKEI EXPRESS)