「料理に海の滋養を取り込みたいので、自然な塩を使うようにしています」。天日塩の中でも、おすすめとして挙げてくれたのが、三重県伊勢市で作られている「岩戸の塩」。海水を釜で煮詰めただけという自然なもので、まろやかなうま味と甘味が特徴。「素材の味を飛ばさない。私の個人的な意見ですが、日本の料理には、やさしい味わいの日本の塩が合うのではと思います」
「岩戸の塩」は味付け全般に使い、下ごしらえには、手ごろな価格で「粗塩」とよばれる「赤穂の天塩」。さらに、食べるときにつけるフランス産の“フルール・ド・セル”(フランス語で『塩の花』の意)と呼ばれる「ゲランドの塩」と、ミルで挽いて使う「クリスタルソルト」の計4種類をキッチンに常備しているという。
塩の作用には、(1)脱水(2)下味をつける(3)最後に味を決める(4)青菜を鮮やかにゆで上げる(5)腐敗を防ぐ(6)甘味を引き立てる-の6つ。「基本は使いすぎるのではなく、最小限の量で『味を引き立てる』ということにあります」
調味料にこだわる
「さしすせそ」はもちろんのこと、干し椎茸を戻さずにそのままオリーブオイルとパルミジャーノ・レッジャーノと合わせてフードプロセッサーにかけた「椎茸パルミジャーノペースト」や、麹に干しエビや八角などを加えた「甘辛麹」など、冷蔵庫にはずらりと手作りの調味料が並ぶ。「ショウガやニンニクなど、ちょっとだけ余った薬味をしょうゆなどに漬けてみたり…。料理の幅がすごく広がります」